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運動と姿勢
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お産の後、いちはやく元の体型戻ることも大切ですが、妊娠中に、お産に備えた身体づくりをしておくことも同様に大切です。
妊娠中に分泌されるホルモンには、関節を柔らかくする作用があります。このため、妊娠中は軽い運動をかかさず、背筋、腹筋や骨盤底を守る筋肉を鍛え、丈夫にして、関節を保護することも大切です。
妊娠中これらの筋肉がしっかり身体を支えてくれることで、体重や重心の変化が原因で起こる、妊娠中のさまざまな身体的疲労を和らげることができます。
妊娠中の運動は、陣痛や分娩に備えての準備運動と考えましょう。こうして事前にいろいろな筋肉を補強しておくことで、出産がずいぶん楽になります。一番簡単な運動は、何といっても歩くことで、これはお産の後にもぜひ続けてください。
安全のために各地域のヘルスセンターやヘルスクラブでは、妊娠中の女性のために、様々なエクササイズプログラムを実施しています。次に妊娠中の運動について、考慮する点をいくつか上げてみました。こうしたプログラムが、妊娠中の身体に適切または効果的なものかどうか、独自で判断する場合の参考にしてください。
- 準備運動とクールダウンの時間を設けているかどうかを確認する。例えば、やさしい体操から始め、徐々に難しい体操に移り、最後にもう一度やさしい体操に戻るのが理想的です。
- 妊娠前から何かのエクササイズプログラムに参加している場合は、念のため、エクササイズプログラムが妊婦体操として適切かどうか、ヘルスケアの専門家に確認しておくこと。ここに掲載の妊婦用エクササイズプログラムは、妊娠していない女性にも、またどんな体質、体型の女性にも有用です。但し、妊娠以前に、ほとんど運動したことがない女性の場合、いきなり激しいフィットネスエクササイズから始めるのは危険です。
- 無理をしたり、やり過ぎたりしないように。疲れたり、息切れがしたり、あるいは、立ちくらみがしたり、体温が急上昇したりしたら、すぐに休憩すること。また、運動中は、息を整えることを忘れずに。 あまり激しいストレッチ運動や、息を止めたりするような運動は避けること。
- 運動中、体温が上がり過ぎたり、上がった状態が長時間続いたりするような運動は絶対に避けること。目安としては、40分以上の激しい運動は避けること。一般に、体温に影響を及ぼすような、過激で長い運動は避けること。妊娠中は、サウナやジャクジの使用は絶対に避けること。
- 脊柱下部 (腰や骨盤) にストレスがかかるような運動は避けること。例えば、腰を弓形に曲げたり、ゆすったり、腹部を突き出したりする運動も避ける。また、自分で自分の動きをコントロールできないような姿勢は避ける。
- 無理な姿勢や、一般に、妊娠中は止めるよう注意を受けている運動は避ける (後半で詳しく記載)。
- 同じ動作を長時間くり返すような運動は避ける。短く変化豊んだ動きを組み込んだ体操を、何度か繰り返すタイプのプログラムを選ぶ。

姿勢
子宮の中で赤ちゃんの体重が増えていくに従い、母体の重心は、徐々に前方へ移動します。図1のように、この重心の変化が源因して、背中の筋肉に負担がかかり、腰痛がおこりやすくなります。(図1参照) 重心の変化による最も著しい弊害は、お腹の筋肉が牽引され弱くなることです。適度の運動は硬直した筋肉を弛緩し、姿勢の変化によって弱くなった筋肉を補強してくれます。
意識的に姿勢を正したり、毎日適度な運動を欠かさないことで、妊娠中の身体的な不快感を和らげ、体型の変化からくる痛みや疲労をコントロールすることができます。図2は、妊娠中正しい姿勢の取り方のチェックリストです。参考にしましょう (図2参照)。

かかとの高い靴は腰に負担がかかります。妊娠中は、履きやすくかかとの低い靴を選びましょう。妊娠中は、余分な体重をささえるため、身体の各部分が無理な姿勢を強いられています。ここでは骨格と身体の重心を理解することで、関節や筋肉にかかる負担を最小限にしながら、身体に楽な休息の取り方、家事労働や日常の動作の仕方を指導します。
立っている時の姿勢
立った姿勢で仕事をするときには、身体の重心の位置を適度に変えながら、楽な姿勢を維持することが大切です。長時間立っている時は、体重を前にかけ、膝をこころもち曲げた状態で、数分ごとに足の位置を変えると楽になります。また、立っている間、片足を小さな台にのせておくと、腰にかかる負担を軽減できます。
物を持ち上げる時
床から物を持ち上げる時には、足の筋肉を使っていったんしゃがんでから持ち上げましょう。腰をまげるだけで、(物を) 持ち上げると腰に負担がかかり、腰痛の原因にもなります。図3のように、持ち上げる物を身体の中心に引きよせてから、持ち上げましょう (図3参照)。また、高い棚などから物を下ろす時には、必ず足つぎを使いましょう。図4の姿勢で、高いところに手を伸ばすと、下ろす物が身体の中心から離れるため、腰を過度に牽引することになります (図4参照)。

物を動かす時
物を押したり、引いたり、あるいは動かしたりする時、動かす物を身体の中心へ引き寄せましょう。また、腰を使わず足の筋肉を使い、膝を少し曲げた状態でこの動作をします (図5参照)。
(椅子に) 腰掛ける時
椅子は堅めのもので、座った時足が床に平らにつく高さのものを選ぶ。また、座った時、太もも全てが椅子にのるよう深く腰掛け、足台に足をのせます。この時、腰の部分全体が背もたれに当たっている状態がよく、でなければ、腰の部分にクッションを当てるといいでしょう。長時間すわっている場合は、ときどき足を高く上げるようにします。また、血液循環が悪くなるため、足を組むのはやめましょう (図6参照)。
妊娠中は、あぐらを組む動作はいい運動になります。ももの内側の筋肉を伸ばす練習になり、出産の準備体操として役立ちます。図7のように、あぐらを組んで座る時、背中をまっすぐにし、肩を後ろに引いて正しい姿勢を保ちましょう (図7参照)。逆あぐら、つまり、足をW型にする座り方は、腰、膝、足を牽引し、腰の負担になるため避けてください (図8参照)。
しゃがみ方
足を床に平らにつけ、足をひろげてしゃがむ姿勢は、床の上での作業に適しています。また、この姿勢は、腰、ふくらはぎ、ももの内側の筋肉を伸ばす運動にもなりますこの姿勢を維持するには少し練習が必要ですが、陣痛、分娩の時に非常に役立ちます (図9参照)。
横たわる時の姿勢
うつ伏せ
うつ伏せで休む場合、腰の下に枕を敷いて骨盤を上げ、背中をまっすぐにして、お腹の筋肉をゆるめて下さい。頭には小さな枕を使うか、または枕を使わないで、首と背中の筋肉を牽引し過ぎないようにします (図10参照)。

仰向け
妊娠中は仰向けで寝ると、子宮の重みでお腹の大動脈が圧迫されます。この姿勢でめまいが起きれば、以後この姿勢で寝るのは避けてください。仰向けでも気持ちよく休めれば、小さなクッションを首の下に敷き、胸を圧迫しないようにして休みましょう。足を高めにし、膝の下に枕やクッションを入れて膝を曲げると、全身の筋肉が弛緩して楽になります。足の位置が心臓の高さより少し上になると、血液の循環をよくし足のむくみがとれます。(図11参照)。 なお、3カ月以降は、仰向けはなるべく避けるようにしましょう。
シムスの体位
妊娠中は仰向けより横に寝るほうが楽で、特にシムスの体位が気持ちの良い姿勢です。足の高さが腰の位置になるように、足の間に枕を縦長に置き、腰に負担がかからないようにします。上の足は枕の上に置きます (図12参照)。

休んでいる姿勢から
休んでいる姿勢から立ち上がる時には、まず身体を横向きにし、次に腕で支えながら座った姿勢になります。いきなり直角に立ち上がるのは避けましょう。腰に過度の負担をかけることになります。次に、椅子から立ち上がる時には、頭が足の真上に来るよう、前屈みの姿勢から腕で身体を押し上げ、上半身が完全に起き上がった状態になってから立ち上がります。腰を使わないよう注意しましょう (図13参照)。

出産前の妊婦体操
各体操は1番を除いて5回ずつ繰り返します。終了後まだ体力があれば、同じ体操を最後から逆の順序で繰り返してみましょう。各体操ごとに、短い休憩を入れて下さい。
骨盤底の運動、ケーゲル体操
目的: 骨盤底の筋肉を鍛える。骨盤底を支える筋肉は、妊娠中のホルモンの変化と子宮の重みから来る負担のために、弛緩し弱くなってしまいます。収縮力のある強い筋肉は柔軟性にも優れ、分婉の時に重要な働きをしてくれます。残念なことに、骨盤底の筋肉を鍛える体操はあまり重用視されないため、この筋肉は妊娠中著しく退化し、出産後いろいろな問題が生じる原因となります。妊娠中から骨盤底の体操を実行し、この筋肉をしっかり鍛えておくことが大切です。
姿勢: 座った姿勢、立った姿勢、横になった姿勢、しゃがんだ姿勢
動作: 膣内の筋肉を持ちあげ、堅くしめる。 筋肉を収縮させた状態をしばらく維持し、ゆっくりと緩める。排尿の途中で止めたり、出したりしてみる。この運動で、骨盤底をしめたる緩めたりする筋肉を鍛えることができます。この感覚を覚えるまでしばらく練習を続けましょう。お尻、お腹やももの内側の筋肉を収縮する運動と混同しないように。この運動は、性交の最中にも実行することができます。パートナーに、膣内の筋肉がしっかり収縮しているかどうか尋ねてみましょう。筋肉が収縮してした感覚を身体で体得すると、いろいろな体位でこの運動をすることができます。なお、骨盤底の運動をしている時は自然に呼吸し、息を止めたりしないよう注意しましょう。
骨盤底の筋肉は疲労しやすいため、一度に連続して3〜5回が適当でしょう。繰り返し頻繁に行うことが大切で、1日にトータルで50回を目安に練習してみましょう。
ブリッジ
目的: 骨盤を正しい位置に固定するためのお尻の筋肉を強くします。
姿勢: 仰向けに寝た状態でひざを曲げ、足の裏をぴったり床につける。腕は身体の横に自然に置いた状態。
動作: お腹とお尻の筋肉を引き締め、身体とももが一直線になるように腰を持ち上げる (図14参照)。腰を上げながら息をはく。そのままの状態で5秒数え、ゆっくると上体を下げる。腕よりお尻の筋肉を使ってブリッジをつくる。
この体操は、妊娠初期から体操を始める妊娠に限ります。また、妊娠後期によくあるように、腹筋が左右に分離している場合、または腹筋が弱く、上体を曲げるのが辛い場合は、この体操は避けましょう。
腹筋1
目的: 腹筋を鍛える。
姿勢: 膝を曲げ、足の裏をぴったり床にたうけて寝た姿勢
動作: 顎を胸につけ両腕を伸ばしたまま、頭を持ち上げる。頭と肩をゆっくり床から6〜10インチほど上まで持ち上げる。この時、背中は床につけたまま。 ゆっくりともとの姿勢にもどる。
慣れてきたら
両手を伸ばした状態で、腹筋が楽にできるようになったら、次は、両腕を胸の上や頭の後ろで組んだ状態で試してみましょう。無理をしないよう、ゆっくりと進んでください。
腹筋のチェック
15図の腹筋体操1を始める前に、腹筋が左右に分離しているかどうかチェックしましょう。腹筋が分離していると、胸骨の下からおへそまでを縦軸に、左右に分離した筋肉の盛り上がりを手で感じることができます。この分離があれば、15図の腹筋は避け、変わりに16図の腹筋体操2を実行しましょう。
腹筋2
(腹筋が分離している場合)
目的: この体操では腹筋の分離は解消できませんが、筋肉がさらに分離するのを防げます。
姿勢: 腹筋体操1と同じ。但し、両手を手と同じ側のお腹の分離した筋肉に当て、中心部の方向へ軽く押すようにする。
動作: 息をはきながら、頭と肩を軽く床から持ち上げ、下ろす。
ななめ腹筋
目的: 腹部のななめの筋肉を鍛える。
姿勢: 膝を曲げ、足の裏をぴったり床につけて寝た姿勢。
動作: 両腕を膝の外側の方向へ伸ばしながら、頭と肩を床から軽く45度ぐらいの角度に持ち上げる (17図参照)。静かにもとの姿勢にもどる。頭と肩を持ち上げる時には、息をはくこと。右膝の方向に同じ動作を繰り返す。
慣れてきたら
両手を伸ばした状態で、ななめ腹筋が楽にできるようになったら、次は、両腕を胸の上や頭の後ろで組んだ状態で試してみましょう。無理をしないよう、ゆっくりと進みましょう。
足もとの体操
目的: 硬直したかかとの腱を伸ばし、下腿 (足の下部) の血液循環を促進することで、くるぶしのむくみやこむら返りを防ぐ。
姿勢: 膝を伸ばしたまま、座るか寝た姿勢 (18図参照)。この体操をしながら、足置きなどに足を乗せると効果的。別の姿勢としては、片足を曲げて椅子に座り、反対の足のももに乗せる。こうすると、ももの内側の筋肉を伸ばす効果もある (19図参照)。

動作:
- 足の指を頭の方向へ向ける。ふくらはぎが伸びているのを確認しながら、しばらくそのまま。 足の指を下に向ける。
- 図18の姿勢。足を時計の針の方角に回し、次に反対の方角に回す。
目的: 下腹部の筋肉を鍛える。
姿勢: 膝を曲げ、足の裏をぴったり床につけ、おしりの近くに置き、仰向けに寝る。
動作: 骨盤を軽く持ち上げながら、かかとをスライドさせ、ゆっくりと足を伸ばしていきます。足は、背中をぴったり床につけた状態でスライドさせます。背中が床からははずれたら、すぐに膝を曲げ、スタート時の姿勢にもどりましょう。背中を曲げずにできる範囲で、足をできるところまで伸ばしてください。足を伸ばしながら息をはきます (20図参照)。
骨盤を持ち上げる
目的: お腹の筋肉を鍛え、脊柱の下部 (骨盤と腰) を伸ばし、姿勢をよくする。この体操は、妊娠中や陣痛時の腰痛を和らげる効果があります。
姿勢: 両膝を曲げ、足の裏を床にぴったるつけて抑向けに寝る。
動作: 深く息をしながら、お腹とお尻の筋肉を引き締め、骨盤を軽く持ち上げて、背筋をぴったり床につける。そのままで5秒数えてから力を抜く。筋肉を引き締めながら息をはく。息を止めないこと。

この体操は、21図の姿勢ですると簡単です (21図参照)。また、横向きに寝た姿勢、座った姿勢、立った姿勢や22図の姿勢など、いろいろな姿勢で試してみましょう。背中の力を抜いて (22図参照)。但し、骨盤を持ち上げる時、脊椎が下がらないように注意しましょう。骨盤を持ち上げる時に、息を吸い込みます。
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